長い旗竿の敷地の狭小住宅である。
敷地の中に三つの箱を立ち上げ、床を様々な高さに挿入することで生まれるスキップフロアによるひとつながりの空間をつくった。
箱に囲まれたメインのダイニング空間は、あたかも住宅地の隙間がそのまま立ち表れたような街の残地をイメージしている。建物の内部に周辺環境と同義的な空間を写し取ることで、周辺を過密に囲まれた環境ながらも、外へ広がる可能性を感じさせる空間としたいと願った。
大きな開口により朝にはいっぱいの自然光が降り注ぎ、夕刻には空の色を映しながら暗がりへと変化する。夜には箱の内部が一転明るい空間となることで、箱の内部と外部の空間が夜昼で反転する。家全体が一日の自然のサイクルに支配されることを意図している。
吹抜や床の段差に手摺の代わりに張られたネットは、光と風を下階に導きながら、視線を制御しプライベートな空間を程良く分ける。この第二の床が、ある時は読書や遊びの場となり、時にはうたたねの場となり、上下の繋がりをより密接で複雑なものとしている。
等々力CAMP
所在地 | : | 東京都世田谷区 |
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用途 | : | 住宅 |
竣工 | : | 2015年5月 |
構造 | : | 木造 |
規模 | : | 地上2階建 |
施工 | : | 江中建設 |
写真 | : | 鳥村鋼一 |