所在地 : 横浜市神奈川区
用途 : 住宅
竣工 : 2013年10月
構造 : 木造
規模 : 地上2階
施工 : 栄港建設
写真 : 鳥村鋼一
第58回神奈川建築コンクール 優秀賞
「夫婦の終の住処」として緑深き庭の一角に計画された住宅である。
建物外部に巡る庇の空間により、日射や室内の温熱環境を最適化しつつ、周りの環境と住宅空間とを積極的に関係づけることを考えた。
LDKの大開口サッシは、水平の深い庇とウッドデッキにより緑深い庭へと連続する。春には桜の大木が眼前に広がる。庇は一体的にエントランスまで巡り、犬走りの空間をつくりながら玄関へと続く。ポーチと駐車場の上では大きな屋根となり、帰る人を迎え入れるもてなしの空間となる。
建物を巡る大きな庇が、日差しや雨風から住空間を守りつつ周辺環境と室内を繋ぐ役割を果たしている。
木造で大きな片持ちの庇を成立させるために、棟の部分を合板を用いた合成梁として、屋根および庇全体が一連の構造体として計画されている。合成梁のトラスと天井面および屋根面の合板全てが固まることでで成立する構造のため、建方にも十分な時間と注意が払われた。屋根裏に空気層が一層分生まれることで、平屋であっても安定した温熱環境をつくることに寄与している。
構造である梁と構造用合板はそのまま室内に表されインテリアとなる。木仕上げの天井により居住空間が大きな庇の下に守られたものであることを暗示している。